華氏451 / フランソワ・トリュフォー

 1966年の作品。マイケル・ムーア『華氏911』の元ネタ的存在。ブラッドベアリの原作を見事に映像化したもの。「華氏451」とは紙が燃える温度のこと。「焚書坑儒」やナチスの禁書など、圧制には常に「書物を焼くこと=想像力を奪うこと」が伴う。この映画に出てくる「fireman」は消防士ではなく本を焼く職業人(fire/man)だ。本が見つかったと通報されると直ちに焼きに行かねばならない。政府は問いかける。想像力は人を不幸にしているのではないか。現実に起きていないことを考えさせてしまう書物など、人を不幸/愚鈍にするだけではないか。どれだけの書物が人を悩ませ、あらぬことまで思い至らせ、動揺させてきたのだろう。想像の世界に沈溺する必要がどこにあるのか。この問いかけはわたしに重くのしかかる。決して「思想弾圧を扱った映画」などと社会的に観ることはできない。根源的に「想像という営み」を問う映画だ。禁じ手だが、春樹を引用することで答え(仮)にかえよう。――In dreams begins the responsibility.

85点

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