プラトーン / オリヴァー・ストーン

 1986年の作品、ニコニコ動画へのリンク。ベトナム戦争モノ。作品解説

 これは救いのない戦争映画だ。「救いのない」というのは、ため息しか出ない、ベタに憂鬱になる以外に方法がない、ということだ。たとえば『プライベート・ライアン』は、胃が縮み上がるような肉体感覚としての戦争を追体験をするというスペクタル的な楽しさを持ち合わせている。憂鬱、というよりは興奮する映画だ。たとえば『遠すぎた橋』は、幾何学的に洗練された構図によって、戦争そのものが美的な段階にまで昇華されている。憂鬱、というよりはむしろ感嘆する映画だ。また、多くの反戦映画では、徹底的に絶望的な戦争の状況が描かれることによって、観客はむしろ救われているといえるだろう。「悲惨すぎる」という感覚は、容易に、「戦争は絶対にダメだ!」「許せない!」という憤りや倫理的使命感に転化する。それは間違いなく観客にとってある種の「救い」なのだ。憂鬱感を、前向きな未来に向けてのエネルギーに変えることができるのだから。「絶望している自分」に酔うことができるのだから(もちろんそれは決して悪いことではないのだけれども)。ところがこの『プラトーン』では、メタに逃げる要素が一切残されていない。もう、興奮することもできず、怒ることもできず、泣くこともできず、美的洗練に感嘆することもできず、ただただ憂鬱なのだ。観やすいハリウッド映画として「ベタな憂鬱そのものとしての戦争」のリアリティを鮮やかに切り取った傑作。少々古めかしい部分があるとはいえ、この映画は、一度観ておく価値があるだろう。

85点

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